副甲状腺機能低下症について
副甲状腺とは、甲状腺組織の裏にある米粒サイズの臓器で通常は左右に2個ずつ計4個あります。

副甲状腺は84個のアミノ酸からなる副甲状腺ホルモン(PTH)を産生し、分泌します。
このPTHは骨、腎、小腸に作用し、カルシウム濃度を調節します。骨では骨吸収促進など、腎ではカルシウムの
再吸収促進など、小腸ではビタミンD3によるカルシウム吸収促進などが行われます。これらの作用により
血中カルシウム濃度は一定に保たれています。

副甲状腺の病気には甲状腺と同じように
亢進症と低下症があり、その治療法も違います。外科的治療などが必要になってくるのは亢進症です。
今回は低下症についてです。

副甲状腺機能低下症には
特発性副甲状腺機能低下症・・・PTHの合成あるいは分泌が不全になる場合
偽性特発性副甲状腺機能低下症・・・異常なPTHホルモンを産生・分泌している場合
偽性副甲状腺機能低下症・・・PTH受容体以降の過程に異常があり PTH作用が発現しない場合
続発性副甲状腺機能低下症・・・手術や放射線で副甲状腺を取ってしまったのや、腎機能低下、低マグネシウムによるもの。
                    症状、検査、治療はおおよそ「特発性」と同じ。(これが私の場合です)

これらの病気の原因
産生・
分泌障害
手術後副甲状腺機能低下症
先天性の無形成(DiGeorge症候群)
胎生期の鰓嚢の分化障害に起因する。副甲状腺無形成のほか胸腺や心臓の分化障害も来たす。
特発性副甲状腺機能低下症 -多内分泌腺機能低下/自己免疫・カンジダ症候群
-Schmidt症候群(副甲状腺機能低下症を伴うことはまれ)
-遅発性の副甲状腺機能低下症
ヘモクロマトーシス
Wilson病
サラセミアでの輸血
悪性腫瘍の転移
機能性副甲状腺機能低下症
PTH遺伝子レベルでの異常 -偽性特発性甲状腺機能低下症
-家族性副甲状腺機能低下症
作用の
不全
低Mg血症
偽性副甲状腺機能低下症

【症状】(PTHの主な作用部位は骨と腎である。したがって低カルシウムイオン血症、高リン血症をきたす)
  ※私の術後の検査結果を見てもわかりますが、カルシウムは低くIP(リン)は高いです。
●神経・筋症状ではテタニー発作
●精神機能では精神活動の低下
●白内障・・・長期間低カルシウム血症が続くと、水晶体に小帯混濁や空胞が認められ、さらには水晶体の全体にわたり
        びまん性に透過性が低下する。

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偽性副甲状腺機能低下症・・・偽性副甲状腺機能低下症は正常な副甲状腺ホルモンPTHが
                   十分量分泌されているにもかかわらず、PTH作用不全を示す病態である。
症状:中手骨および中足骨の短縮
検査所見:血中PTH高値/血中LDHおよびCPKの上昇
 診断の要点は低Ca高P血症を確認し、類似の所見を示す他疾患を除外することである。
  副甲状腺機能低下症と腎不全以外で低Ca、高P血症を示す病態は非常にまれで、多くは一過性である。
  腎不全の除外は血液生化学検査で簡単に行うことができるので、慢性的低Ca高P血症の鑑別上
  問題となることは少ない。副甲状腺機能低下症の診断がついたら、PTH分泌不全による副甲状腺機能低下症との
  鑑別を血中PTH値によって行う。
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低カルシウム血症については別の項で説明します。

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