眼症について
最初に、眼症についてはまだまだわからない事が多いです。
賛否両論も多く、ここに書くことで惑わされる人も、反感を感じる人もいるかもしれません。
今回書くのも悩みましたが、実際に悩んでる方も多く、私自身が現在治療中という事もあり
調べながらもこれからも情報を集めて徐々に書いていけたらいいな・・・と思います。

まず私が発症してからも、する前も質問の中に・・・「完治しますか?」というのが多いのですがこれに私が答えるのは
いつもNo!です。まず症状をランクで分けると
低=瞼が腫れる・瞼が出る・光がまぶしい・充血する
中=驚いたような見開き方をしている・視力の変化・ぼやける・
高=痛みがある・瞼が閉じない・白目が多くむき出した感じがある・斜視・複視

質問を投げかけてくる方の目がこの中のどれに当てはまるのか私にはわかりませんが・・・
どのランクも、100%元に戻る事はまずないというのが私の答えです。
その理由は
1:「普通」のラインが人それぞれ違うため
2:「普通」の状態を誰も知らないため
例えば、私は現在15mm程度突出しています。これは軽度らしいです。20mmを超えると中等度らしい・・・。
私自身が思うのですが、健常な人の目は0mmかと言えばそれは違うと思います。じゃあ、健常な人は一体何mm?
それもまた人それぞれ違う・・・と言う事です。
もし私が、半分の7mmになったら、「普通」だと「完治した♪」と思えるかもしれませんが・・・それは
個人的主観でしかないのです。
また痛みがある今、この痛みがなくなったとき「完治した♪」と思える人、それでも腫れた瞼が戻らなければ
完治してない・・・と思う人もいる・・・と思います。
私は、甲状腺の数値が落ち着けば、眼症も治まってくると思っていましたし、実際にそうでした。
元々瞼の腫れを、兄弟から指摘され「出目金」とからかわれて、この病気を知るきっかけになりました。
当時どのくらい突出してたのかわかりませんが、薬を飲み始め数年後にはその時よりは腫れが小さくなった気がしてました。
そして去年手術前に測ったときの私の目は13mmの突出でした。
手術をしたら、その突出が0になる事はないとしても、半分くらいになるのかな?と単純に思っていましたが
術後半年以上経って、痛みで目が覚めるほどの左目に激痛があり異常に気付き、白目に水泡ができました。
眼科を受診しCTを撮ったところ、筋肉の炎症が見つかりました。そして現在私の突出は15mmです。
亢進しているから眼症が出ると言うことも、甲状腺の数値が落ち着いたから眼症が出ないとか、治る・・・というのも
ない!と言うことです。
簡単に「治る!」といって希望を持たせることも大事かもしれませんが、これ以上、今以上ひどくならないよう
治療していくことの方が、大事だと私は思います。
田尻クリニックのHPには
甲状腺の治療が目に及ぼす効果についてはまだ議論の余地があります。甲状腺機能亢進症は、抗甲状腺剤、
経口放射性ヨード、または外科的な甲状腺切除で治療されると思われますが、それぞれの治療が目に及ぼす
効果については専門家の間で意見の一致が得られていません。放射性ヨードにより甲状腺組織に損傷を与えると、
自己免疫反応を刺激して目の問題を悪化させるのではないかと感じている医師もいます。
甲状腺機能亢進症から甲状腺機能低下症への突然の変化も、目の変化を進行させる可能性があります。
放射性ヨードの投与を受けている特定の患者への慎重なコーチゾンの使用とともに、甲状腺に対する治療と
甲状腺ホルモン剤の補充療法のバランスを注意深くとっていくことで、普通は目に対する影響を最小限に抑えることができます。

・・・とありました。
またストレスとの関連も強いと思いますので、例えば喫煙者にやみくもに禁煙を勧めるよりも、心のバランスを保つことの方が
大事に思われます。

眼症と抗体について
甲状腺のホルモンの数値が落ち着いていても、TSH抗体値(TRAb)が高いと、眼の症状が変化する場合もあると
言われています。
ちなみに、私のTSHレセプター抗体(TRAb)ですが、正常値は1.0IU/l未満
2006年7月4日=937
2006年8月29日=625
2006年10月10日=508
2007年6月5日=133(眼症が出始めた時です)
2007年7月10日=57.2(ステロイドで治療中)
残念ながら術後から眼症の症状が出始めるまでの抗体値がわかりません。ただ、術前にメルカゾールやルゴールで
甲状腺の数値を下げているのと同時に抗体値も落ちていってます。
また、眼症の症状が出始めて治療をしている7月10日の数値と、症状が出始めた頃を比べるとやはり3倍近く違うので、
抗体との関係を否定することはできないと思います。

眼症とアイソトープの関係
バセドウ病の治療で行うもののひとつにアイソトープがありますが、この治療後に眼症が悪化する症例が多いと言われています。
色々な試験が行われているようですが、本当のところはどうなのかやっぱり解明はされていません。
放射性ヨード治療群で眼症の新たな発症や悪化の起こる頻度が高かったが、放射性ヨード治療が原因で
そうなったのかは証明されていない。
まだ眼症の自然経過を反映している可能性があるが、その場合はメチマゾールが
眼症に対して効果があったとも推測できるのである。放射性ヨードによる甲状腺の破壊に伴ない、TSHレセプター抗体や
その他の甲状腺抗体が血清中に増加するが、これはおそらく甲状腺抗原の放出とTリンパ球とBリンパ球の活性化のためで
あると考えられる。眼窩では、活性化したTリンパ球がTSHレセプター、もしくは甲状腺組織と共通な他の抗原を発現する
眼窩線維芽細胞に結合すると思われる。その結果サイトカインの放出が起こり、それが眼窩線維芽細胞による
グリコサミノグリカンとコラーゲンの産生を刺激するために浮腫と線維化が起こると考えられる。

また
甲状腺機能亢進症の放射性ヨード治療には、程度は小さいものの間違いなく眼症が発症、または悪化するリスクがあるが、
メチマゾールにはないという証拠が得られた。したがって、放射性ヨード治療後の患者の目の変化は軽く、
一過性のものであるにしても、リスクの高い患者には抗甲状腺剤治療を行なう方がよいと思う。
』とくくられていました。
また田尻先生は「甲状腺眼症のある患者さんには、まず甲状腺眼症の治療を先に行って、
眼症が落ち着いてから、アイソトープ治療を希望する人には施行するのが賢明と考える」と言われています。

リスクが高い患者というのは活動性の眼症があること、治療前に血清トリヨードサイロニン(T3)濃度が高いこと、
そして治療後の血清TSHレセプター抗体とTSH濃度が高い事のようです。

ただ、放射性ヨード治療後に3ヶ月間のステロイド投与の試験を受けた患者のうち3分の2に眼症の改善が見られたとある。
悪化や変化がないというのが多い中、改善が見られたっていうのは有意な治療方法なのかもしれません。


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