甲状腺癌について

甲状腺腫瘤の診断ガイドライン

分類 腫瘤の状態 臨床症状 検査所見 治療 合併 予後 誤認
乳頭癌
75%
固く充実性
時に嚢胞状
ほとんどなし 微小石灰化。
診断率95%以上
半分以上切除
リンパ節郭清
リンパ節
転移
しやすい
おおむね良好
(1.5cm以下)
局所への浸潤
遠隔転移が
あれば不良
-
濾胞癌
15%
比較的柔らかく
リンパ節転移は稀
ほとんどなし 血流豊富。
確定診断は不可能。
腺腫との識別は
不可能。
遠隔転移でTg上昇
全摘出が望ましい
リンパ郭清は
通常不要
遠隔転移あり 遠隔転移
なければ良好
濾胞腺腫
髄様癌
7%
固く、
割面は黄色。
遺伝性は
多中心性
ほとんどなし
遺伝性あり
石灰化なく
内部不均一。
血中カルシトニンと
CEAが上昇。
頻度が少なく
専門医が必要
遺伝性なら全摘
リンパ節郭清
種類により
他臓器
病変
種類により
おおむね良好
-
未分化癌
2〜3%
固く
周囲へ浸潤
自発痛
急速に増大
時に嗄声
粗大石灰化を
伴うことが多い。
悪性の識別可能。
リンパ腫との識別は
生検が必要。
切除不可能な
場合が多い
可能ならば切除
放射線外照射
化学療法
- 極めて不良 悪性
リンパ腫
悪性リンパ腫
1〜3%
周囲と同様に
固い。
高齢者に多い
急速に増大
リンパ節腫大
周囲は橋本病。
生検が必要。
骨髄穿刺や
ガリウムシンチが必要。
自己抗体陽性
可能ならば切除
放射線外照射
化学療法
橋本病 骨髄や全身への
転移がないかによる
未分化癌
亜急性
甲状腺炎
固く充実性 圧痛
自発痛
境界不明瞭。
内部不均一。
悪性の疑いと
なる事がある。
CRP・Tg上昇。
時に機能亢進
ステロイド投与 時に橋本病 対側に再発あり
機能低下あり
-
濾胞腺腫 軟らかい
充実性
時に嚢胞状
プランマーは
亢進症状
その他無症状
石灰化はなく
内部均一
核出
あるいは葉切
- - 濾胞癌
腺腫様
甲状腺腫
両葉に
多発結節
嚢胞・石灰化
もあり
腫大・時に巨大
縦隔に伸展る
事あり
嚢胞・石灰化など
多彩。
癌を疑う所見は
検査が必要
巨大な場合切除 時に癌 - -
※未分化癌・悪性リンパ腫については早急に診断・治療が必要。
※ヨードシンチは甲状腺腫瘍の質的診断には有用ではないが、機能性結節の部位診断には必要。また術後も有効。
※甲状腺全摘後は、血中カルシウム、副甲状腺ホルモン(PTH)の測定が必要。
※他臓器から甲状腺への転移は稀だが、腎癌を疑う。


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