手術による後遺症について
これは、私が経験した後遺症の説明です。
手術を受けた人全員がなるものではありません。

※低カルシウム血症によるテタニー
甲状腺の裏には、副甲状腺という4つの米粒くらいの臓器があり、血液中のカルシウムの濃度を感知し
副甲状腺ホルモンの分泌量を調節していると言います。このホルモンが多く分泌されると、
骨の中のカルシウムが溶け出し血液中のカルシウム濃度が上がります。その逆に、副甲状腺ホルモンが
不足すると、血液中のカルシウムが低下し、カルシウム不足によるテタニーが起こる訳です。

甲状腺機能亢進症では、カルシウム濃度があがる事があります。

私の場合、医師に確認したところ、腫瘍が大きかったため、その剥離時に片方の副甲状腺2個も
一緒に取れてしまいどこかへ行ってしまった・・・という何とも不思議な説明を受けました。
米粒位の大きさだと言うことなので仕方ないのですかね?(笑)どこに行ったのでしょうね。

この症状は、頭の先から爪先までが痺れる感覚です。また、痺れ始めると同時に指先が丸まってきます。
初期は点滴でカルシウムを補っていましたが、現在は乳酸カルシウムとビタミンDを服用しています。
術後1ヶ月くらい経ちますが、明け方に足の痺れや、口の周りに痺れを感じる事も時々あります。
また、普通にしていても足全体や、足の裏が痺れる事もあります。これは正座した後の痺れが
ずっと続くような感じです。
通常(副甲状腺が4個とも残っている場合)は、一時的なもので、そのうち薬も止められるとありますが
私の場合のように、2個失くした場合どうなのかは現在不明です。


※両側反回神経麻痺(術後嗄声)
これは、全身麻酔によるものと、外科医の不注意によるものがあります。
全身麻酔時の気管挿入により、一時的に声帯が傷つき声が出難くなる確立は5000人に1人と
言われています。この場合通常1週間程度で戻るとも言われています。
外科医によるものとしては、反回神経は甲状腺の後ろを通っている神経で、術中にこの神経を
触ったり、引っ張ったりすると神経が傷つき声が出難くなるという事です。
通常6週間程度で回復すると言われ、専門の外科医でも2%で起こると言われています。
単純にそれが専門医でない場合10倍以上になると、私は思います。
滅多に聞きませんが、癌などで、この神経まで癌が浸潤している場合は、
この神経を犠牲にする事もあるようで、その場合は永久的に声を失う事になります。(両側神経麻痺)

また、自然治癒が望めるのは、症状が出てから6ヶ月後までと言われています。
治らない場合は、甲状軟骨形成術という手術などで、声を取り戻す事も可能だそうです。

症状ですが、私の場合・・・小声でしか話ができません。内緒話を想像してもらえるとわかりやすい。
+息が続かないため非常に苦しいです。またどうしても発音できない音があったりして、電話ではほとんど
聞き取れないようです。それと、咳・くしゃみも普通に出来ず変な音が出ます。
鼻歌も出来ません。不思議です。
同時に水分もゴクゴクと飲めません。これは多分開いている声帯が完全に閉じない為だと思います。
その為なのか、心肺機能も低下しているように思います。階段の上り下りで喘息のようになったりするのが
怖いです。

術後1ヶ月近くなりますが、相変わらず・・・という感じです。
病院でも、薬や治療を特別にやってはいません。
もしもこのまま出ない場合は、6ヶ月経った時点で甲状軟骨形成術を検討しますので
その場合は、それについても載せて行きます。
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12月19日術後2ヶ月近く経った診察日・・・片方の声帯(右側)が動き始めました。
私の病名は「片側反回神経麻痺」に変わりました。
症状ですが、声は前よりも出るようになりました。ただ息継ぎが難しいのと、
ずっと声を出し続ける事は出来ません。だから歌もやっぱり歌えません。
咳をするとひどく咽るし、音もくしゃみなどを含め変わらず変な音です。私のくしゃみや咳の音を聞いた
人は必ず驚いて振り返ったり、ジロジロ見たりします。
鼻歌はなんとなく出来るようになりましたが、これは曲によります(笑)
水分も少しずつ飲みやすくなってる気がしますがまだまだゴクゴクは飲めません。
以上です。また変化があったら記載します。
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※甲状腺機能低下症
これは後遺症と言うより、必ずなると言った方が正しいと思います。
予想していたもので、私は特に気にしていません。症状などについては、低下症の項目をご覧下さい。

残した甲状腺がきっちり働くようになれば治りますが、働かない場合はチラージンという
甲状腺ホルモン剤を飲んで、甲状腺ホルモンを補っていきます。一生続くかどうか未定です。
私の場合2.5g残した甲状腺がこれからどう頑張ってくれるかに期待しています。

残さず全摘した場合は、もちろん一生薬と付き合っていかなくてはなりません。


※副甲状腺機能低下症
術後起こる低カルシウム血症は、治る可能性が高いもので、甲状腺の手術によって副甲状腺機能が低下することを
「続発性副甲状腺機能低下症」と言います。
この副甲状腺機能低下症は一生カルシウムとビタミンDの補充が必要なものです。
通常4個、甲状腺の裏にある副甲状腺ですが、手術などで失ってしまい副甲状腺ホルモン検査(PTH)で合成や分泌が
不全になる場合や、異常なPTHホルモンを産生・分泌している場合、PTH受容体以降の過程に異常があり、
PTH作用が発現しない場合などの事を言います。症状や検査所見については甲状腺のページに書きます。



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